6月24日 - 日記

大前氏のニュースの視点を読んだ。

総中流社会が崩壊し、年棒300万円−600万円の人たちを足すと、全体の80％程度になる。「補助金を受け取るほどではないけれどやや低所得者」というロウアーミドルが最も多く、そこが一番安定している。

そして、朝日新聞社の世論調査によると、日本の将来のあり方としては、経済的豊かさよりも「格差が小さい国」を求める意見が70％を占めたそうだ。

郵送による全国世論調査は、どの程度選挙結果と関係があるのだろうか。「めざすのは「最小不幸社会」」という、フレーズも、巧妙に世論を取り入れているのか。極論としては、東洋の人々に社会主義があっているのか、とか思ってしまう。競争社会になったほうが全体の富は増す、のでしょうが、学者等のこうしたほうがいい、という意見と、世論のこうしたい、という意見は違っているわけですね。「強い経済、強い財政、強い社会保障」というフレーズと、「最小不幸社会」というフレーズとは、その完成段階ではなく、その発展段階において、矛盾する場面はない、と見当されたので、使われたのでしょうね。

全体の80％程度がロウアーミドルなら、世論調査の70％が、経済的豊かさよりも「格差が小さい国」を求めると出るのも、今の日本ならありそうな話ですが。でも、総中流が総ロウアーミドルになっただけではなく、そして、危機感は、同じ世論調査で90％以上の人がこれからの日本に不安を感じていると答えたように、共有されてはいる。

やる気があるなら、どんどん上を目指せるようにするべきだ、と思うのは、当然、ある時において、やる気がある人だ。

よく紹介されている有名な例で、蟻の集団を分ける実験の話を思い出してしまう。すると、どのくらいその社会に富があるか、情報共有されれば、されるほど、やる気のある構成員は、2割程度になるかも、と思ってしまう。

実際の人間社会に話をもどすと、社会の殆ど全員が上を目指さないとだめ、と受け取るか、社会の殆ど全員が別に上を目指す必要はない、と受け取るか、の2者選択、というのはあまりにも、社会の間接的なオーケストレーションの浸透が精神的に貧相で、結果として全体主義的だ。

じつは、やる気のある人とそうではない人との差を生み、やる気がある人が上を目指せる状況を作るには、やる気のない人が少なくとも現状維持してくれる、ということが必要かもしれない。少数のやる気のある人に対し、どこにそんなエネルギーがあったのか？といういきおいで、時間や、お金や、仕事上のちっちゃい権力を使ってじゃまをするのをやめてくれさえすれば、おのずと、社会全体の富を上げてくれる人は出てきやすくなるのではないか。自分は動きたくないのに、危機感から、人をねたんで積極的に陰から攻撃する人を排除する間接インセンティブのしくみでも作ってもらいたいものだ。話が陰すぎてわかんない？

社会の選別機能に対しては、異常にリゴラスになっており、政治が、今までの教育や会社のしくみを、大きくは変えないのに、市場主義を徹底しても、序列だけをみてイガミあいがきつくなり、すさむのが進行すると思う。

法人税が下げられ、日本に外国の会社が増して、やる気があれば、どんどん上を目指せるような、その間接的結果として、だめな人は排除されるような、市場主義が効いた、ちょっときつい職場も、多様性の一環として、増えたとしたら、どうなるのだろう。自浄能力がなければ、外国勢力に頼むのは、たとえ一過性であっても、うまくいくかもしれないが。
この場合、ガイアツでなくて、外国勢力というところが、ちょっと心配だ。

2011年11月24日。
アメリカ人の、日本における御用学者のような人？が、海兵隊の豪州ローテーション案をきっかけに、短文を上梓。
日本全体をリスク・ヘッジにできる、という論を開陳。将来的な中国の取り込みはアメリカの国策で、その中で、アメリカ軍の役割としては、冷戦時代とは違う方法で、中国の決断を後押しする、などという。たいしてあてにならない核の傘のもと、ソ連への盾となった日本は、今度は中国へのリスク・ヘッジ商品と化したか。さすがアメリカの私立大学というのは、集めた膨大な資本からできているのね、という感じ。しかし、今やその実質は、ヘリコプター・マニーなのでは？
抽象的に、やや権威的に、その実質を明らかにせず国際システム(the international system)などというが、E Uやアジアからたいして好かれていない、アメリカを中心とした、経済ブロック類似のものをいうのだろうか。“グローバリゼーション”と銘打ち、実はアメリカ化、という現在の日本の中高年を蝕む洗脳と同旨？冷戦とは違うだろうが、広義のブロック経済策にのっとった陣地取りパワー・ゲームなのではないか。