2010年12月3日

2010年11月29日、朝7時前後に、放送大学の授業を視聴した。授業名「国際政治('07)」第9回 体系3、題名「帝国と覇権」。

冷戦までの歴史上の具体例として、吉田茂、李承晩、ゴ・ジンジェム等、多くを挙げ、大国が小国を簡単には操作できないのではないか、ということを考えるツールとして、「協力者のジレンマ」、「介入拡大のジレンマ」、「紛争拡大のジレンマ」、というのが挙げられていた。

冷戦後、現代の米国は「非公式の帝国」と呼ばれるそうだ。この思考ツールは、19前半の英国や中国と日本等の観測について使われたものだそうだ。現代のイラク統治においても、「協力者のジレンマ」はあてはまる、との観測も挙げられていた。しかし、もちろん、というか何というか、メキシコの例などは挙げられていなかった。

通じて、「大国秩序の多元性」という語もなかなか印象に残った。

なお、この授業では、ウォーラースタイン氏は、”ウォラシュタイン”、とか呼んでいたようだ。現地発音風ですか?

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2012-05-03
小林氏から引用


BスカイBの将来はどうなる? 英下院委員会から攻撃を受けるマードック親子
 英下院の委員会が、日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドでの電話盗聴事件に関する報告書を、1日、発表した。これが米ニューズ社の最高経営責任者兼会長ルパート・マードック氏を強く批判しており、今、英国ではトップニュースになっている。

ロイターの記事:
(引用)

 英議会の委員会は1日、廃刊した英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の盗聴事件をめぐる報告書を公表した。その中で、米メディア大手ニューズ・コーポレーション(のルパート・マードック会長兼最高経営責任者(CEO)は、盗聴事件を招く企業体質を作り出した責任があるとし、同社を率いるにはふさわしくないと批判した。

 また、マードック氏と、同氏の次男でワールド紙の発行元だったニューズ・インターナショナルの会長を務めるジェームズ・マードック氏に問題の責任があるとの見解を示した。

 報告書は「ニューズ・インターナショナルおよび親会社のニューズ・コーポレーションは、問題を『見て見ぬふり』しており、ルパート・マードック氏やジェームズ・マードック氏ら幹部には最終的な責任がある」と指摘。「不正行為を暴き実行者を罰するのではなく、手遅れになるまで隠蔽しようというのが首尾一貫した彼らの動機だった」とした。

 その上で「ルパート・マードック氏は国際的な大企業の経営者として適任ではない」と断じた。(引用終わり)



大きな打撃となったのが、昨年再燃した、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙での電話盗聴事件である。この件については何度も書いているので、最後に過去記事のアドレスを貼っておくようにするが、昨年7月上旬時点で、盗聴が失踪した少女の留守電にまで及んでいたことが発覚して、国民の大きな怒りを買ってしまった。そこで、「パニックとなった」(と、自分でも認めている)マードック氏は、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙を廃刊にしてしまったのである。

 このとき、BスカイBの完全子会社化も断念せざるを得なくなった。これまで政界と親しい関係を保ってきたマードック氏に対する、ほかの政治家からの不満などが一挙に噴出し、「反ニューズ社、反マードック」感情が非常に大きく渦巻いてしまった。そこで、ニューズ社経営陣は「これでは、買収のための交渉はうまく行かない」と判断し、買収断念となったのである。

 その後、紆余曲折があったが、現在は、放送・通信業務の監督団体「オフコム」が、果たして、ニューズ社が「放送免許を持つに足る、適切な企業かどうか」を調査中である。期限がない調査なので、いつオフコムが結論を出すかは分からない。しかし、「適切な企業ではない」と、もしオフコムが判断した場合、BスカイBの39%の株も、手放さざるを得なくなる「かも」しれないのだ。

 といっても、まだまだどうなるかは分からないのだけれども、ニューズ社の英国での評判は下り坂の一途をたどっている。

 評判の下落にいっそうの拍車をかけたのが、1日に発表された、下院の文化・メディア・スポーツ委員会よる報告書だった。委員会は、この報告書の中で、マードック氏は「国際的な企業を統括するに適切な人物ではない」と言い切ってしまっている。

 「そこまで言う必要はないのではないか?」と思った委員(議員たち)もいて、この表現を入れるか入れないかでもめたようである。このため、報告書はこの点については全員一致とはならなかった。そして、「報告書は政治色が強すぎた」と批判する人も出ている。

 盗聴事件が明るみに出たのは2005年である。同紙の記者と私立探偵が有罪になったのが2007年。

 委員会は、過去数年にわたって、新聞界の水準やプライバシー問題について調査を行ってきた。ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙での電話盗聴事件もこの範ちゅうに入り、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの編集長、発行会社ニューズ・インターナショナルの弁護士や経営幹部などを召喚し、「一体、何が起きたのか?」、「組織ぐるみだったのか」などを公聴会の場で聞いてきた。

 発行元は、長い間、「たった一人の記者が関与していただけ」という線で通してきたが、それがどうも嘘であることが、ほかの委員会の調べやガーディアン紙の調査報道で判明してきた。2009年に召喚された弁護士や経営幹部らが「記憶にない」という表現を繰り返すので、委員会は、「まるで集団健忘症にかかったかのようだった」と、2010年発表の報告書で批判したほどである。

 そして、1日の報告書では、こうした経営トップや弁護士の対応が非常に厳しく批判された。「嘘を言った」とまでは言わなかったものの、「委員会を欺いた」、と書いた。

 委員会の公聴会では、召喚された人は証言の前に宣誓をする必要はないが、真実を語ることが期待されている、と報告書は書く。これを軽んじて、「誤解を与えるような」証言を(故意に)するとは何事か、という怒りが伝わってくる。

 今回の報告書の発表で、今日は一日、マードック氏批判やニューズ社の将来を憂う声が出ていたが、最終的にニューズ社の将来は株主が決めるので、株主が怒らない限り、あまり変わらないかもしれない。

 それよりも、ニューズ社の手からBスカイBが消えるのかどうか、これが結構注目だと思う。ニューズ社は完全子会社化は一旦はあきらめたものの、近い将来、再度買収を試みようと思っているはずだ。

 英国内でどうやってニューズ社の経営陣のイメージを刷新し、放送免許を持つに足る企業であることを証明したらいいのだろうー?あまり善後策が見つからない感じで、時が過ぎるのを待つぐらいしか、ないかもしれない。果たして、経営陣の首切り策に走るのかどうかー?

 政治的には、キャメロン首相の政治生命も懸念だ。キャメロン氏はニューズ社経営陣や傘下の新聞の編集長などと私的つきあいがあり、マードック氏への逆風は、同氏への逆風となってしまうからだ。

 一連の調査を通じて、いかに政界、メディア界(=マードック勢力)、警察などがくっついていたか、これが次々と暴露される毎日である。


アメリカが構築する情報統制体制の記事をいつも別サイト等で読んでいるが、イギリスが国の内部に関しては、“少女の留守電“にまでおよぶと”国民の怒り”につながる、というのは、あらためて、そうなんだ!?、という感じ。