11月29日

大学受験小論文過去問を解いてみた。簡単にしてあります。

問題文出典 青山南氏「調べ物の時間」朝日新聞2002年9月12日付・夕刊より

問題文要約
「翻訳のため、以前は調べ物に膨大なお金と時間を費やして、ムダが多かった。しかし、インターネットのおかげで早くて安く、部屋から出ずにあらかた調べ物ができるようになった。けれども、想像をめぐらす貴重な時間でもあった、ほっつき歩きうろうろしていた非生産的な時間がなくなったのは残念だ。」

答案例
創造をめぐらす貴重な時間がなくなったという筆者のなげきには、私は共感できない。新しいインターネット環境に筆者が慣れていないだけだ。仕事のために道具があるばかりでなく、使う道具により仕事が変質しうる。情報を渉猟・収集する移動途中に考えたり、意思決定を行ったりする情報ノマド(遊牧民)であったが、定住地に情報をエンクロージャー(囲い込み)できる定住牧畜民になり、考えたり意思決定したりする順は自分次第となった。

逍遥する間にいいアイディアが浮かぶ習慣がついた、いわば、翻訳家の逍遥学派であるならば、区切りのいいときにパソコンを閉じて散歩に出向けばいいだけであり、現在のほうがより自由になったともいえる。そもそも最近は情報端末が携帯化したので、例えば、見慣れた古本屋街に対し捨てられない愛着があるのなら、古本屋街に一切出入りせずとも、その近くのカフェで翻訳の仕事をすれば、なかなか変えられない習慣と変わってしまった仕事の方法との妥協を図れるだろう。

現在は、情報端末が携帯化したことにより、ほっつき歩いたり、じっとしたり、うろうろしたりする自由度が増した、とも言える。仕事の結果である翻訳物の良し悪しに、いろいろと創造をめぐらす能力自体が大きく反映し易くなり、この意味では、情報環境の変化が仕事の実力主義化をおし進めたのではないか。

仕事の方法が変質し、インターネット環境普及以前に使われていた、情報を狩り漁る技術・方法が過去のものとなり、一見、全く不要となったように思える。つまり、インターネット環境・携帯情報端末時代に育った若い世代は、古いアナログ式情報収集の技術を獲得するために多くの時間を費やさなくてよいので、古い世代に対し、有利さを持ち、追い抜きが容易になったように見えるのである。

しかし、考えることができるようになるまでの練習・修行は情報環境にかかわらず必要であり翻訳者本人がどんな能力・センス・興味範囲を持っているか、誰に教わったか、にもよるが、それなりの時間を費やさなくてはならないだろうことは明らかなのではないだろうか。

古いアナログ式情報収集技術を習得した古い世代は、情報環境の豊かさを享受し、幸せである。電子化されていない情報媒体の特徴は、なにも紙の触感や紙のにおいを得られる事だけではない。情報流通などのため、デジタル合理化された情報につけられている情報属性のタグはまだまだ稚拙で発展の余地が認められる。例えば、どこにどのような情報があるものだという情報の産出情報や、情報の加減や組み合わせにより生じる、いわばメタの情報、先取り情報、などの獲得方法の早い習得に馥郁とした豊かなアナログ情報環境は必要である。これらの豊かで深い情報があってこそ、出来上がった翻訳に深みを与える事ができると思う。翻訳以外の仕事、例えばジャーナリズムや金融や諜報といった仕事であれば、なおさらこれは必要であろう。

古い情報収集技術のいい所を、さらなる技術革新によってデジタル情報に取り込むことができたとき、我々は情報収集技術の古さと新しさの二項対立を真に超え、互いに飛び越しあって達成するような進歩をすることができると思う。

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2012-04-29
ニューズウィーク日本語版3月21日号に、ウィキリークスが公開した内容のうち、アメリカの民間情報会社ストラトフォーとその情報源のメキシコ人のアナリストとの間のメールのやりとりをもとにして記事が書かれていた。推論も多い内容。イスラエルグルジアとの売却契約は反故にするとの発表をしたのは事実のようだが、イランに関しては、まったくの推論となっている。
ところで、このニューズウィークの記事にはその後、シリアにロシアは新しい対空兵器を売却したかどうか、書かれていないが、それでもVofRのサイトの記事では、シリアでは“比較的新しい”ロシア製の対空兵器が効いていて、それが事態への影響を与えているのではないかという、ちょっとロシア製品のBtoBの?アフィリエイトステマか、という内容もあった。

VofRより引用

ロシア戦略・技術分析センターのルスラン・プホフ所長率いる軍事専門家・学者グループが、ここ20年間ロシア国外で起き、百万人以上の犠牲者をもたらした10を越える大規模軍事紛争を分析した。
「他者の戦争」と題された本の中に集められた分析結果は、自分が手にした自動小銃や軍人的プロフェショナリズム、勇気や剛毅にのみ期待をかける英雄の時代は過ぎ去ったことを示している。 現代の戦争においては、戦闘機や軍艦、さらには宇宙機器や最新の無線技術を含め、複雑でよく調整された軍事マシーンやシステムを持つもののみが勝利する。その際、使い方の下手なものに最強兵器が渡ったなら、それは全く無用の長物と化してしまう。
 本の著者達は、軍事介入の実施には最新の空軍を持つ事が、また介入を成功裏に撃退するためには最新の対空防衛手段を持つ事が重要だと強調している。ユーゴスラビアNATOとの戦争に敗北したのは、最新の対空防衛手段を持たなかったからだ。しかしシリアは、S-300タイプの比較的新しいロシア製対空防衛手段を持っているため、同国に対する軍事作戦が成功するか否かについては疑問が残る。



ロシアは、どのような場合でも、イランへの対空防衛システム・長距離地対空ミサイルS-300の供給禁止措置を放棄できる。著名なロシアの軍事専門家で雑誌「国家防衛」の編集長を務めるイーゴリ・コロトチェンコ氏は、記者会見でこのように述べた。
 コロトチェンコ氏は又「ロシア自身、国連安保理事会の対イラン制裁措置に追加的に、そうした制限を導入した。それゆえ、それを取り除く完全な権利を持っている。 加えて、対空防衛システムは国連安保理事会の『ブラックリスト』に抵触せず、このことは米国務省も公式的に認めている」と指摘した。