2010年12月25日

ベンジャミン・古歩道氏が、ロン・ポール議員あての書簡というかたちで、世界的な金融レジーム再編を中国資本が行って、それによってアメリカの金融問題も少しおちつかせる、という可能性について示唆していた。本当のところはどうなのだろう。

製造業の一部程度しか習得していなかった日本だが、金融に関し、おかかえ外国人方式でもいいから、世界的な金融レジーム再編を日本が行い、例えば郵政を自由化したら逆に日本に資金が集まるくらいのレジーム構築ができるものならしてほしいものだ。その際、軍部ならぬ経済官庁が暴走しないようにするのが政治の役割であり、経済官庁に対し政治家が政治主導すべきだとすると、これは、政治は経済を主導するべきか、否か、という観点にも通じるかもしれない。

ドイツでは大衆がナチス政権を支持したのちにナチスを完全に処刑・排除して過去のものとする清算をしたが、東ドイツ併合などの後、結果として、経済としては自国資本優位を保つことができたのではないか。ドイツは外国資本に実質的に支配されているわけではないだろうし、むしろEUでは指導的役割だと聞く。メルケル氏がIMFの助けを断ったくだりがNW誌の今年のニュースを振り返る紙面に掲載されていた。欧州版IMFを創設したほうがましだ、という意見も、勢力としての独立を語っている。

ちなみに暗殺されたとおぼしき石井議員は日本を国家社会主義だとしていた。すると、国家社会主義であるということと、自国資本を優越させるか、否か、ということの間には強い関係はないのだろうか。

韓国は第二次大戦後に財閥解体などはなかったが、資本におけるアメリカ資本の割合は多いと聞く。

ところで、米国債や日本国債について、新聞電子版にちょっとしたニュースがあったので引用します。

米国債投資で損失を出した国内の大手銀行が、その穴埋めのため日本国債を大量に売却したことが、このところの長期金利の上昇に拍車をかけた。日銀が「包括緩和」で金利低下に躍起となる中、大手行の売却が、その効果を帳消しにしてしまった格好だ。
日本証券業協会によると、主に国債で占める短期証券を除いた公社債の投資家別売買高で、11月に大手銀行は、2兆8905億円の売り越しとなった。平成10年以降では、過去3番目の高水準だ。
市場関係者によると、大手行は春先以降、相場の上昇(金利の低下)を予想し、米国債を買い進めてきた。ところが、11月3日に米連邦準備制度理事会FRB)が追加金融緩和に踏み切った以降、景気改善や一段の緩和観測の後退を背景に、相場は反転(金利は上昇)に転じ、保有する米国債に多額の含み損が発生した。
各行は、大あわてで売りに転じ、損切りする一方、含み益のある日本国債を売却することで、損失を穴埋めしたとみられる。
 米国の長期金利は11月に2%台前半から3%近くまで上昇。日本の金利も、0・9%台から1・2%近くまで上昇した。
 景気に冷や水を浴びせる長期金利の上昇に警戒感を強める日銀。これに対し、全国銀行協会奥正之会長は21日の会見で、「含み損が出た国債を抱えていくのかは、各行のリスク管理上の問題で一概にはいえない」と述べ、売却もやむを得ないとの考えを示した。

日経QUICKニュースを要約して引用します。

日銀の白川総裁は、長期金利が上昇している背景について「米国の先行きに対する悲観論や緩和期待の後退に伴い、グローバル化する金融市場の中でつられて上昇したと理解している」と説明。その上で、「企業や家計の資金調達コストや、金融機関の収益状況を通じて影響する側面がある」との認識を示した。一方、10月に導入した包括的な金融緩和については、「金利を押し下げる方向に作用している」、「全体として金融環境を緩和方向に進める効果を発揮している」と強調した。

来年度の国債について、久保田博幸氏のブログより要約して引用します。

”来年度の国債発行、総額は大きく増加するが市中消化分は小幅増加に”

2010年12月22日

12月20日に開催された国債市場特別参加者会合では、来年度の国債発行計画について財務省と参加者の間で意見交換が行われた。

その結果、来年度の国債発行の総額は大きく増加するものの、カレンダーベースでの市中消化額はわずかなものにとどまる見込みとなる。

中期債の増額については「昨今の中短期ゾーンの不安定さ」などが指摘され、「ここもと価格変動性が大きいことを鑑み、なるべく増額は控えた方がよい」との声が出ていた。

11月に大手銀行が2兆8905億円もの国債を売却していたことが、20日に発表された公社債投資家別売買高で明らかになった。期間別で見ると超長期債を約3367億円、長期債を約9969億円、中期債を約1兆6646億円売り越しており、特に中期ゾーンの売りが目立っていた。この動きを踏まえて、中期ゾーンへの増額については慎重な見方をするようになったものとみられる。

いずれにせよ総額そのものが増加する割には市中発行額は抑えられることで、これによる国債需給への懸念は抑えられよう。財務省も前倒し発行などにより、少しでも国債への需給懸念を押さえ込んでいる。しかし、年間 170兆円規模という巨額の国債が発行されることに変わりはない。さらに再来年度以降についても、同様規模の国債が発行されることが予想される。足元の国債需給は問題なくとも、先々のことを考えれば安心していられるような状況にないことも確かである。