2010年12月26日

日本の予算などについて、タイにいる方のブログを読んだ。
日本の一般の新聞、そしてもちろん白書類に執筆している、学者や官僚やジャーナリストは、いったい何を書いているのか、と思えてしまう。記事を引用します。

つくづく、この国のイデオロギーというのは官僚ファシズムです。来年度の一般会計予算が公表されましたが、相変わらず役人とマスコミが結託し大本営さながらの垂れ流しをやっているわけで、こりゃもう完全な国家病理、日本の宿痾と言っていいでしょう。総予算96.7兆円とメディアはなんら検証性もなく斉一的な報道に終始していますが、そもそもこの数字には全く意味も根拠もありません。だいたい歳出の科目に公務員と特殊・公益・独行法人の人件費、維持費、補助金が記されないわけです。そりゃ税収が40兆円しかないのに、役人の給料と権益へ70兆円規模の金が投じられているなんてことは表沙汰にできないでしょ。

国債償還費が21.5兆円とかこれもふざけた話で、借換債を合算すれば実質の償還費は120兆円を超えます。公共事業費4.9兆円なんてのもあからさまな嘘です。なんせ、国土交通省出先機関である地方整備局の維持・人件費だけでも毎年8兆円を超えています。全く報道されませんが、アメリカは貿易不均衡解消のため93年以降日本の公共事業費を年間50兆円ベースに堅持するよう厳命しており、来年度もおそらくこれに拮抗する予算枠となるでしょう。徳川幕府外様大名の勢力を減衰すべく参勤交代を命じたようなもんで、属国が宗主国の脅威とならぬよう、自ら経済力を削ぐことをいまだに課せられているわけです。試算では道路、橋、ダムなど過剰堆積した公共財のメンテナンスには今後40年間でさらに190兆円を要するとのことですから、国家が緩慢に自殺しているようなもんです。

こんな具合に推計260兆円規模とされる特別会計の内訳は事実上隠秘され、国民には収支報告すら行われないわけですから、日本の財政運営は旧ソ連となんら変わりがありません。また、これに随伴する報道機関は支配勢力と不可分の共謀関係にあり、既得権益を不可視とするプロパガンダ組織にすぎないということです。昨年の政権交代においては一気呵成にこれらの構造が瓦解せずとも、財政の一元化、財政投融資郵貯、年金、簡保の不正流用)の廃止、天下り禁止、特殊・公益法人の統廃合など段階的に腐敗権益を縮減できれば最悪の状態は回避できると期待しました。が、支配勢力の抵抗ぶりはこれまで幾度もエントリーしたとおりの激烈なもので、縮減どころか真逆に拡大する始末ですからどうにもなりません。天下り役人の補助金が毎年12兆円規模であると繰り返してきましたが、ちなみにこの額はアジア通貨危機(というより通貨テロです)の際、欧米のファンドが一斉に引き上げたマネーに相当します。これによってタイ、韓国、インドネシアなどの通貨は最大60%以上も下落しダメージを被ったわけですが、12兆円とはこれら新興国の産業資本に匹敵するほど莫大な額であるということです。

要はもし連年にわたり12兆円もの資本を特殊・公益法人、系列企業群など非生産的部門ではなく、レアメタル等の鉱山、その他の各種資源やエネルギー開発、ITやハイテク企業など生産性の高い分野に対外投資しておけば、今現在どれだけのリターン、割引現在価値が得られていたか、ということです。おそらく高校から大学まで完全無償化、ベーシックインカム施行くらいの原資は確保でき、個人消費の低迷やデフレも地方の壊滅的疲弊も回避できていたでしょう。日本の対外純資産が240兆円規模で世界最大といわれていますが、殆どは米国債などの債券運用ですから多少の利回りが確保できても今年のような円高トレンドになれば為替損で簡単にぶっ飛ぶ程度のものです。

ちなみに日本が買い取った米国債200兆円分は預り証のみ付与され、ゲンブツの保管も自由決済も許認されていません。元本償還見込みのない事実上の永久国債をつかまされてるわけですから、いっそ日米安保を破棄し自前で核配備するほうが財政面でも国防面でも100倍マシです。いずれにしろ、税金、預貯金、年金、保険など国民資産を流用して編成する260兆円規模の国家予算が、社会資本投資という観点からすれば、全くリターンを生まない官製事業分野へ投下され完全に機能不全であるばかりか、実に累計1000兆円規模で毀損をし続けているわけです。つい先週、田原総一郎氏の「このような財政運営は後何年くらいが限界なのか?」という問いに対し、仙石官房長官が「2年くらいだ。」と答えたとのことですが、こうした喫緊の背景事情を斟酌してのことだったと思われます。


仙石氏が2年後と予見した財政破綻がどのように収斂するのか見当もつきませんが、いずれにしろ、公債償還のツケは全て国民個々人が背負うことになります。実際、来年度からは各種控除の廃止、増税とともに厚生年金の支給額引き下げが規定となりましたが、これには北爆の弾頭に米兵が綴った“this is only the beginning!”のロゴが想起されます。年金引き下げの理由はデフレに連動してと騙っていますが、消費財が値下がりしているだけで公共料金、保険、医療費は逆に負担増となり多くの年金受給者は圧迫されているわけですから全くの詭弁です。にもかかわらず、公務員の共済年金については手付かずですから、早い話、為政者や役人にとって一般国民なんてのは馬鹿、すべからく衆愚を前提条件に貫徹した収奪をやらかしているということです。

「私は経済力をもっとも重要な美徳に数え、公共負債を恐るべき最大の危険とみなす。」とトーマス・ジェファーソン箴言を遺しましたけれど、アメリカも戦争と富の不均衡、腐敗投機で崩壊寸前ですから先人に学ぶことなく自滅状態、日本と大して変わりはありませんね。

記事の引用はこの項はここまでです。